【女性による安心・安全なピアノ調律を】調律歴18年・累計6000台以上。相談のしやすさ・親しみやすさを大切に、透明感と輝きのあるピアノを調律で提供します!ご家庭・コンサートや発表会・学校などあらゆるピアノに対応。宮城県内はもちろん県外も対応します。

ピアノ調律師・Nコンれぽ(NHK全国学校音楽コンクール)


Nコンとは

”全国規模の合唱のコンクール”である。部門が小・中・高校で分かれている。各県にて予選がおこなわれ、金賞を勝ち取った学校がブロックコンクールに進み、さらに全国コンクールを目指すというものである。
今回は、多賀城市民会館にておこなわれた宮城県地区コンクール(8/17,18の二日間)の調律と立ち合いを担当させていただいた。調律師目線のレポートを(ピアノの話多め)投稿してみようと思う。

NHK全国学校音楽コンクール

1日目 仕込み日

この日は事前準備の日なので、演奏はおこなわない。午後から3台調律。
今回使用するピアノは全部で3台、本番用1台と練習用2台だ。
まずは練習用であるリハ室と小ホールのグランドピアノ。連日の暑さ・湿気によりピッチがだいぶ上がっており、2ヘルツ下げ調律。3台で約5時間という限られた時間で仕上げなければならないので、時間配分としては3時間半でリハーサルで使う2台を調律し、残りの時間を大ホールの本番用スタインウェイに充てることにした。

①小ホールのピアノは、特に中音の狂いが気になるのでここを重点的に調律するため、まず全体のピッチを下げる調律を1時間で仕上げ、残りの30分で見直しをすることにした。見直しに差し掛かったところで、なんとなくタッチの重さが気になる。調律記録簿を見ると、この2年くらい保守点検以外調律していないことがわかる。恐らく、使用頻度もあまり高くないのだろう、若干のスティック(鍵盤やアクションの動きが悪くなり連打がしにくい状態)を感じる。アクションを直すには時間が足りないので、鍵盤部に潤滑剤を少量使うことにした。これなら、ピアノの状態を大きく変えることなく解決しそうだ。少しタッチが軽くなり連打がきくようになったところで終了することにした。

②次にリハーサル室のピアノだが、普段から良く弾いているのと部屋の温湿度が変わりやすい影響でこれまたピッチが上がっており、2ヘルツ下げ調律をすることにした。ピッチの幅がひろければひろいほど、規定の高さ(A=442Hz)まで下げて安定させるのが困難になる。このピアノもまた全体を2回ほど調律する必要があったが時間が限られているので、ある程度の精度で切り上げこととし、精度の追求は2日目の朝にすることにした。

③大ホール
このピアノが1番重要である。ピアノ庫で温湿度管理が行き届いているのと調律頻度が高いのでピッチの変化はそんなにない。1時間半ほどをかけて調律した。

二日目 中学校の部


台風の影響で延期が心配されたが、無事に開催することができた。開始時間が2時間押しで始まった以外は通常通りであった。
朝一番に大ホールのピアノを調律しなおし、練習用である小ホールとリハ室も見て回った。夜間は冷房が切れるので、温度変化から多少の狂いが生じていたのでざっと調律しなおして、本番を待つ。

《本番中》
私は袖で待機、本番中のピアノの屋根の開閉係を担当。ピアノの屋根は、三段階で開き具合を調節可能なので、事前に学校ごとの希望を聞いており、演奏と演奏の隙間にささっと直す。
屋根の開き具合によりピアノの音の響き具合が変化する。各学校のポリシーにより決められ、本番前のリハーサルを聴いて、直前に変更する学校もあるため間違わないように気をつける必要がある。

この日は演奏が終わってからリハーサルで使うピアノ2台の調律直し、終了。

《3日目》
最終日は小学校の部、高校の部。
朝一で大ホールのピアノを調律。1時間ほどで終了。そのまま袖で待機、本番では前日に引き続きピアノ屋根の開閉を担当。
小学校の部終わりの昼頃と、高校の部の休憩中に再調律。
今回は何事もなく終わることができて胸を撫で下ろした。コンサートは何が起きても良いように、調律師はピアノの弦や修理工具を持って待機している。

三日間を終えて

同じピアノを3日間で何度も調律した。そこから分かったことは、同じように調律してもピアノの大きさや環境により音の変化率は変わる。一定の温湿度で、大きなピアノほど変化は少ないということが再確認できたことだ。

また、自分の調律のクセも分かった。3本張られている弦のうち手前の方はチューニングピンを回しすぎていたせいで、しばらく経つとピッチが上がっていた。逆に、奥のピンは音が下がっていた。演奏中に数本狂ったので、休憩中に手直ししたがいずれもピッチが下がっていた。もっと細かく音の変化を聴いて、ピン操作をする必要があると感じた。また、音の聴き方も後ろばかり聴かずに音の始まりからピッチを捉えるられるよう鍛えていきたい。これが出来るようになれば演奏者がもっと多彩な音を出すことができるし、ホールの端まで届くダイナミックな音も出るだろう。
今回のコンクールでは、自分の調律の課題がより浮き彫りになった。これからまた研究して、技術を向上させピアノユーザーに還元していきたい。

また、コンクールに出場していた子供たちや先生方は皆さんとても楽しそうだったので、少しでも役に立てたことを光栄に思う。私の母校の高校が金賞を受賞したことも嬉しかった。運営・ご依頼してくださった方々に、ここで深く感謝を申し上げます。

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