ピアノ調律をしているとみなさまによく聞かれること、それはピアノの保管や状態のことが圧倒的に多いです。本日は、また、どうしたらより良い状態で弾くことができるか、ピアノが受けるダメージや環境、対策についてご紹介します。
虫食いによる被害
ピアノの内部部品・特にフェルト類を消耗させる圧倒的一位の要因、それは虫食いです。ピアノはいたるところに羊毛が使われ、また、質も良いことからヒメマルカツオブシムシの餌となり、食べられた所はもれなく穴が開きます。
虫食いで欠けてしまったバランスクロス↓
左・新品のクロス、右・食べられてしまったクロス↓
ヒメマルカツオブシムシの幼虫↓
調律時に虫を発見することもありますが、多くの場合成虫になり幼虫の抜け殻と食われたフェルト類が散乱していることがほとんどです。私の経験から、
- 自然に囲まれた場所
- 使用頻度が少なくピアノの蓋を閉めっぱなし
- 調律を何年もしていない
- 暗くじめじめとした環境
このような状態の環境にピアノを設置しますと、虫害に遭いやすいと感じています。
フマキラーのサイトによると、ヒメマルカツオブシムシは越冬もして5〜6月に20~100個の卵を産卵し、さらに、餌がなく飢餓状態でも6〜12ヶ月生き延びて幼虫期間を2〜3年伸ばすことも可能とのこと・・・!!ピアノはまさに格好の餌食なのです。
毎年調律に伺っていても、夏の暑さや使用頻度が変わることによって急に虫害が発生することもありますので、注意深くフェルト類を観察します。
鍵盤の下、クッションとなるフェルトやクロス類、鍵盤の中(ブッシングクロス)、ハンマーやダンパー部分、キーカバーなどピアノにはたくさんの羊毛が存在します。
発見した場合は即駆除し、防虫剤を設置します↓
一度虫が発生しても、そこから毎年防虫剤を交換していくと、虫はほぼ居なくなります。ですが防虫剤には使用期限があり、半年から一年のものが多いので、定期調律時に交換させていただく必要があるでしょう。
食べられてしまったフェルト・クロス類は元には戻りませんので、交換修理します。鍵盤部やアクション部の修理となりますと費用が数万〜期間も数週間かかる場合もあり、その期間ピアノが使えなくなってしまいます。ピアノをお持ちになっている方には相当なリスクですので、そうならないためにもヒメマルカツオブシムシの存在には常に注意を払い、少しでも兆候があれば早めの対策をするのが良いと言えるでしょう。
お持ちのピアノの状態が気になる方は、仙台らすかるピアノ調律所までお気軽にご相談ください♫
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