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ピアノ調律師によるコラム♫①ピアノが発明される前、人々はどんな楽器を演奏していたの?


みなさんが普段何気なく弾いているそのピアノ、どうやって発明されたか知っていますか?このページでは、学校でもなかなか教えてくれないピアノの秘密を、現役ピアノ調律師が解説します。第一回目は、ピアノが発明される前のヨーロッパのお話です。

「ピアノは弦楽器」という事実は多くの方がご存知だと思います。ではピアノという楽器がいつから弾かれていたか、知っている方はどれくらいいらっしゃるでしょう。実はピアノが発明されるずっと以前から、人々はハープやリラなどの弦楽器に親しんでいました。

図1.古代ギリシャ、リラを楽しむ人々

そのうち、響板(音を増幅させる板)が使われるようになり、それらは「プサルテリー」と呼ばれ、弦をつま弾いて音を出す『撥弦楽器』の代表・チェンバロの発明の元となりました。

一方、ダルシマーと呼ばれる楽器は、木でできたバチを使って弦を直接叩く『打弦楽器』でした。 また、16世紀には安価で繊細な演奏ができる「クラヴィコード」が主にドイツで普及していきました。 現存する鍵盤楽器は、1480年頃制作のドイツの「クラヴィツィテリウム」で、ロンドンの王立音楽大学・ドナルドソンコレクションに所蔵されています。内部構造はチェンバロとほぼ同じですが、弦は垂直に張られ、アップライト型チェンバロと呼ばれることもあります。


図2.ダルシマーを演奏する女性

ここで、中世ヨーロッパの代表楽器であるチェンバロとクラヴィコードをご紹介します。

【チェンバロ】
17,18世紀頃を最盛期として演奏された楽器。クープラン、J.S.バッハ、ヘンデル、スカルラッティらが多くの楽曲を残しており、バロック音楽を代表とする楽器。主に宮廷で演奏された。
メリット→音域の広さ、音色の輝かしさが優れている
デメリット→音の強弱を出せない

【クラヴィコード】
弦と直角に並んでいる鍵盤を押すと金属製の突起・タンジェントが弦を振動させる打弦楽器。学校、教会などで使われた。
メリット→タンジェントが弦を打つ位置を変えることで数種類の音を出せる、弾き方によってはビブラートもつけられる
デメリット→音量が小さい

ルネサンス時代には、人間のあらゆる喜怒哀楽の感情が如実に表現されるようになり、次第に、それ以前の神々しい抽象的な宗教音楽は影が薄くなってきました。当時発達してきた表現力豊かな楽曲に、チェンバロやクラヴィコードが役に立たなくなってきなのです。 加えて、18世紀には、アマチュアの音楽家が増え、楽器の供給不足やメンテナンスの難しさが課題となっていました。

クープランは当時こんな言葉を残しています。

1668年-1733年フランソワ・クープラン(フランス)

チェンバロは、その音域の広さと音色の輝かしさの点においては、申し分のない優れた楽器である。しかし、この楽器では残念ながら、音の強弱を出すことは不可能である。もし、この楽器に表現力を与えることに成功する人が現れたら、私はその功績に対して絶大の感謝を捧げたい。

そして、ピアノ誕生のきっかけとなる衝撃の楽器が登場するのです。
1690年頃、ドレスデンのバイオリン奏者であったパンタレオン・へーベンスライトは、債権者から逃れるために(!!)メルセブルクの近くの村に隠れ、ダルシマーの改良に明け暮れていました。彼が作り出した楽器は、それまでのものの4倍の大きさ(長さ275cm以上)、響板が左右に二つ、弦の総数185・音域55音、二種類のマレットを使い演奏するというものでした。その音は、素晴らしいダイナミックレンジを備え、囁くようなppから雷鳴の如きffまで出すことができ、当時の人々の魂を揺さぶり奪うほど表現力だったと言われています。

 パンタレオンは、ヴェルサイユ宮殿をはじめ多くの宮殿で名演をし、感銘を受けたルイ14世は彼の楽器に「パンタレオン」という名称を付けたと云います。
 しかし、この楽器の演奏は極めて至難の技で、彼が唯一の奏者でありました。その奏法は、2本のマレットを使い分けることがまず難しく、また、ダンパー(音を止める機構)が付いていなかったので奏者の手や袖で音を止める技術までも必要としていました。(パンタレオンは現存しておらず、お見せできないのがくやしいです)

 そこで、半音階をもち、2本および3本弦の輝かしい音色と理想のダイナミックレンジを持ち、音色の変化と表現力を持つ楽器を、なんとか指でコントロールできる鍵盤楽器に移し、楽な奏法で弾けるようにしようという動きが活発になりました。

図4.バルトロメオ・クリストフォリ


そして、イタリアのチェンバロ職人であったバルトロメオ・クリストフォリが、クラヴィチェンバロ・コル・ピアノ・エ・フォルテを発明し、当時はその他にもフランスのマリュウス、ドイツのシュレーターらがこれに続きましたが、クリストフォリが幸運にもピアノ発明者という栄誉を勝ち取ったのです。

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